Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
うらみなきさつじん
恨なき殺人
宮島 資夫
Lisez 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) de 宮島 資夫 (みやじますけお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 611 caractères · 56 écrans
けれどもそれは、ただこの山の煩わしさから逃れるだけで、前途に何の望みもありはしない。職業に餓えて、あの砂埃りのひどい東京の街を痩犬のようにさまよって、哀訴したり嘆願したりしなければならないのは、今から考えてもぞっとするほど解り切った事である。それで何かにあり附けば、やっぱり同じような厭やな気持ちを繰り返すだけの事だ。すべて世の中が、そんな風に出来ている――と思うと、彼れは又た妙に心細くなってしまった。
旧坑の奥から吹いて来る陰気な風に吹かれながら、彼れはじっと目をつぶって了った。
午過ぎの交替時間に、事務員はみんな見張りのテーブルの周囲に集った。その時池田は真中のテーブルの上に手紙を投げ出して、
「まあ読んでみてくれ給え。誰か妙なことを言ってやったとみえるよ」と平気らしく装うて言った。
手紙は手から手に取られた。彼はそれを読む人の顔から、何物も逃すまいと、ジッと次から次に見詰めて行った。
最初に読んだ鈴木は、
「また誰か妙なことを言ってやったんだな」と言った。
次に読んだ測量係の男は、黙って「フフン」と笑った。
一度池田を中傷して、後で彼から散々罵られた阿部という若い男は、読み終ると顔を赤くして黙っていた。