Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

Lisez 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 151 280 caractères · 301 écrans

Aozora Bunko

一通毎に筆蹟が違っていた。ひどく下手な乱暴な書体であった。差出局の消印もその度毎に違っていたし、封筒も用紙も最もありふれた安物で、全く差出人の所在をつきとめる手掛りがなかった。

脅迫は必ずしも手紙ばかりではなかった。ある時は電話口にえたいの知れぬ声が響いた。

「川手君、久しぶりだなア。僕の声が分るかね、ホホホホホホ。君には美しい娘さんが二人あるねえ。僕はね、先ず手初めに、その娘さんの方から片づけることに極めているんだよ。ホホホホホホ」

非常に優しい鼻声であった。恐らく電話口で鼻を抑えて物を云っていたのであろう。彼は一言喋る度に、ホホホホホホホと女のように笑ったが、その奇妙な笑い声が川手氏を心の底から震い上らせてしまった。

無論声には聞き覚えがなかった。局に問合せて見ると、自働電話からという答えで、やっぱり相手の正体を掴む手掛りがなかった。

川手氏は今年四十七歳、無一文から現在の資産を築き上げた人物だけに、事業上の敵などは数知れずあったし、事業以外の関係でも、随分むごたらしい目に会わせた相手がないではなかった。だが、それらの記憶を一つ一つ辿って見ても、今度の脅迫者を探し当てることは出来なかった。