Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

Lisez 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 151 280 caractères · 301 écrans

Aozora Bunko

てしまった。

自動車を拾うと、博士はクッションに凭れたまま、じっと目を閉じて、一言も口を利かない。まるで木彫の像のように、呼吸さえしていないかと疑われるばかりだ。小池助手は、この不機嫌な先生を、どう扱っていいのか見当もつかなかった。ただ、気拙ずそうに、博士の横顔をチロチロと盗み見ながら、モジモジするばかりである。

ところが、自動車が事務所への道を半ば程も来た時である。博士は突然カッと目を見開き、

「オオ、そうかも知れない」

と独言をいったかと思うと、今まで青ざめていた顔に、サッと血の気がのぼって、目の色も俄かに生々と輝いて来た。

「オイ、運転手、元の場所へ引返すんだ。大急ぎだぞ」

博士はびっくりするような声で呶鳴った。

「何かお忘れものでも……」

小池助手がドギマギして訊ねる。

「ウン、忘れものだ。僕はたった一つ探し忘れた場所があったことに、今やっと気附いたんだ」

名探偵は、そういう間ももどかしげに、再び運転手を呶鳴りつけて、車の方向を変えさせた。

「それじゃ、あの賊の秘密の出入口がおわかりになったのですか」

「イヤ、賊は出もしなければ、入りもしなかったということを気附いたのさ。