Classiques japonais avec furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lisez 愛のごとく (あいのごとく) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 908 caractères · 210 écrans
私は闇の中に溺れていた。私は、自分のなかの後ろめたさとの心中をせまられているのだった。這いあがろうといくら努力しても、私はどこにもなんの連繋もみつけることができなかった。
目をさますと、電灯が消されていた。縁側の外に、曇り空のような白っぽい朝がきていた。佐藤の、あわただしげに往復する鼾が、すぐそばに聞こえる。冷たくしめやかな空気が、庭からじかに私を洗っている。
硬い、頭にひびくような音が、ときどき庭の方で反響した。私は廊下に出た。保井進が、足もとの石をつかんでは、遠い石塀のそばの松の幹に向かって、けんめいに全力投球のストライクをほうっていた。彼はしばらく前からこうして石を投げているのらしく、顔を赧くしていた。
庭に下りて、私は進に寄って行った。彼は呼吸をきらしていた。「やあ」と、彼は上気した声でいった。顔が汗ばみ、目の充血しているのはすぐわかった。
「なんだか、夢中になって相撲でもとりたいような気分だ」
私は答えず、拳大の石をひろった。大きく腕をまわし、胸をはって私は全身の力をこめて投げた。石は近くの桜の枝をかすめ、二三枚の青葉がゆっくりと舞って落ちた。