Classiques japonais avec furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lisez 愛のごとく (あいのごとく) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 908 caractères · 210 écrans
なにひとつ、このことについては、君のなかで終ることはないんだ」
徹夜で飲むという平山をそのままにして私は表に出た。私は立ちすくんだ。雨ははげしかった。
ネオンの消えかけた午前二時をすぎた町には、泥んこの道がうねり、光を消した二三台の小型自動車が雨の中に傾いて停っていた。私は背広の襟を立てると、煙草をくわえたままバアの廂の下に立った。ひんやりとした空気が私を洗っていた。膝がしらは交互に力が抜け、どぶ板の上で脚がふらふらとゆれ動いた。私はもう、平山や保井夫婦について考えていたのではなかった。
私は煙草の火が消えたのに気がつかなかった。私はからだを斜めにして、ときどき頬にふりかかる雨粒をかんじながら、街灯のしたの音をたてて雨に打たれている泥濘をみつめていた。私はいらだち、むしょうに憤ろしかった。私はそれを我慢していた。烈しい刃のようなものが、からだの中で交錯し、私を切り裂き、私を責めさいなむのを怺えていた。声に出していった。「おれは悪人だ」おれは不毛の、白痴の、人でなしだ。おれは、いつも誠実であり、正確であろうとしてきた。せめて他人にたいし無害であろうとすることだけが、ただ一つ可能な善であると錯覚してきた。