Classiques japonais avec furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lisez 愛のごとく (あいのごとく) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 908 caractères · 210 écrans
なんてったって、毎日がひどく充実していた」
ふと信二は、小林と同じように、戦争をどこかでもとめている自分を感じていた。真紅の血が自分の胸にあざやかに散る想像には、ふしぎに鮮烈な感動があるのだった。六月二十五日以来、信二はおそれながら待ちつづけていた。
一つの季節がすでにはっきりと背を向けたのを彼はかんじていた。バズーカ砲、F86F、ミグ15型。アメリカの弱さは意外だった。なにか容易ならぬ変化がおころうとしている。彼は、途方もなく厚い雲が、道の曲り角から突然姿をあらわしたようにその動乱を意識していた。かならず戦争はおこるだろう、そう彼は判断していた。感情には、たしかに期待もまざっていた。彼は戦争の夢ばかりをみた。異常事、――その、自分が完全に単独な存在でしかない事実のままに動きうる状況は、恐怖のそれであるとともにどこか彼の夢の世界にも似ていた。それは青空が地上に降りてきたみたいに、清潔で、眩しく、正確に人びとがそれぞれ単独であること以外にありえない、純粋な世界、原型の世界なのだ。
「でもなあ」と、青木がいった。「茅ヶ崎のキャムプも、いまは黒ちゃんや韓国兵が多いってな、夜な夜な望郷の黒人霊歌や、うら悲しい朝鮮民謡の哀調がきこえてくるっていう話だ、戦争はどうでもかまわねえが、おれはあの陽気なキャムプがなつかしい