Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるかたきうちのはなし
或敵打の話
Lisez 或敵打の話 (あるかたきうちのはなし) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 276 caractères · 19 écrans
ところが宿を離れて一二町行くと、甚太夫は急に足を止めて、「待てよ。今朝の勘定は四文釣銭が足らなかった。おれはこれから引き返して、釣銭の残りを取って来るわ。」と云った。喜三郎はもどかしそうに、「高が四文のはした銭ではございませんか。御戻りになるがものはございますまい。」と云って、一刻も早く鼻の先の祥光院まで行っていようとした。しかし甚太夫は聞かなかった。「鳥目は元より惜しくはない。だが甚太夫ほどの侍も、敵打の前にはうろたえて、旅籠の勘定を誤ったとあっては、末代までの恥辱になるわ。その方は一足先へ参れ。身どもは宿まで取って返そう。」――彼はこう云い放って、一人旅籠へ引き返した。喜三郎は甚太夫の覚悟に感服しながら、云われた通り自分だけ敵打の場所へ急いだ。
が、ほどなく甚太夫も、祥光院の門前に待っていた喜三郎と一しょになった。その日は薄雲が空に迷って、朧げな日ざしはありながら、時々雨の降る天気であった。二人は両方に立ち別れて、棗の葉が黄ばんでいる寺の塀外を徘徊しながら、勇んで兵衛の参詣を待った。
しかしかれこれ午近くなっても、未に兵衛は見えなかった。喜三郎はいら立って、さりげなく彼の参詣の有無を寺の門番に尋ねて見た。