Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるかたきうちのはなし
或敵打の話
Lisez 或敵打の話 (あるかたきうちのはなし) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 276 caractères · 19 écrans
三
三
寛文十年の夏、甚太夫は喜三郎と共に、雲州松江の城下へはいった。始めて大橋の上に立って、宍道湖の天に群っている雲の峰を眺めた時、二人の心には云い合せたように、悲壮な感激が催された。考えて見れば一行は、故郷の熊本を後にしてから、ちょうどこれで旅の空に四度目の夏を迎えるのであった。
彼等はまず京橋界隈の旅籠に宿を定めると、翌日からすぐに例のごとく、敵の所在を窺い始めた。するとそろそろ秋が立つ頃になって、やはり松平家の侍に不伝流の指南をしている、恩地小左衛門と云う侍の屋敷に、兵衛らしい侍のかくまわれている事が明かになった。二人は今度こそ本望が達せられると思った。いや、達せずには置かないと思った。殊に甚太夫はそれがわかった日から、時々心頭に抑え難い怒と喜を感ぜずにはいられなかった。兵衛はすでに平太郎一人の敵ではなく、左近の敵でもあれば、求馬の敵でもあった。が、それよりも先にこの三年間、彼に幾多の艱難を嘗めさせた彼自身の怨敵であった。――甚太夫はそう思うと、日頃沈着な彼にも似合わず、すぐさま恩地の屋敷へ踏みこんで、勝負を決したいような心もちさえした。
しかし恩地小左衛門は、山陰に名だたる剣客であった。