Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lisez 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 349 caractères · 207 écrans
十一月×日
奥で三度三度御飯を食べると、きげんが悪いし、と云って客におごらせる事は大きらいだ。
二時がカンバンだって云っても、遊廓がえりの客がたてこむと、夜明までも知らん顔をして主人はのれんを引っこめようともしない。
コンクリートのゆかが、妙にビンビンして動脈がみんな凍ってしまいそうに肌が粟立ってくる。
酢っぱい酒の匂いがムンムンして焦々する。
「厭になってしまうわ……。」
初ちゃんは袖をビールでビタビタにしたのをしぼりながら、呆然とつっ立っていた。
「ビール!」
もう四時も過ぎて、ほんとになつかしく、遠くの方で鶏の鳴く声がする。
コケコッコオ! ゴトゴト新宿駅の汽車の汽笛が鳴ると、一番最後に、私の番で、銀流しみたいな男がはいって来た。
「ビールだ!」
仕方なしに、私はビールを抜くと、コップに並々とついだ。厭にトゲトゲと天井ばかりみていた男は、その一杯のビールをグイと呑み干すと、いかにも空々しく、
「何だ! ゑびすか、気に喰わねえ。」
捨ぜりふを残すと、いかにもあっさりと、霧の濃い舗道へ出てしまった。唖然とした私は、急にムカムカとすると、のこりのビールびんをさげて、その男の後を追った。