Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lisez 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 349 caractères · 207 écrans

Aozora Bunko

寝床で当にもならない原稿を書いていると、十子遊びに来る。

「私どこへも行く所なくなったのよ、二三日泊めてくれない?」

羽根のもげたこおろぎのような彼女の姿体から、押花のような匂いをかいだ。

「お米も何もないのよ、それでよかったら何日でも泊っていらっしゃい。」

「カフェーの客って、みんなジユウね、××と鼻ばかり赤かくしていて、真実なんて爪の垢ほどもありゃアしないんだから……。」

「カフェーの客でなくたって、いま時は、物々交換でなくちゃ……せち辛いのよ。」

「あんなとこで働くの、体より神経の方が先に参いっちゃうわね。」

十子は、帯を昆布巻きのようにクルクル巻くと、枕のかわりにして、私の裾に足を延ばして蒲団へもぐり込んで来た。

「あゝ極楽! 極楽!」

すべすべと柔い十子のふくらっはぎに私の足がさわると、彼女は込み上げて来る子供の様な笑い声で、クツクツおかしそうに笑った。

寒い夜気に当って、硝子窓がピンピン音をたてゝいる。

家を持たない女が、寝床を持たない女が、可愛らしい女が、安心して裾にさしあって寝ている。私はたまらなくなって、飛びおきると、火鉢にドンドン新聞をまるめて焚いた。