Classiques japonais avec furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lisez 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 454 caractères · 357 écrans
おあいは、裏町から通りまで探したが、一向堀らしい姿が見えなかった。が、次の日になっても堀はかえってこなかった。
おあいは、昼となく晩となく、河べりをさがしてあるいたが、どこにも堀らしいものがいなかった。そのときおあいは何心なく不意に例の櫛のことを思い出した。そして箪笥をしらべるといつの間にか櫛は失われて了っていた。
おあいは、犀川べりの大桑の淵へ行って、そこで堀が漁をしにでかけてから不思議があったのでともかく、淵へ出かけることにした。
大桑の淵は、どす黒いまでの濃霧が覆いかぶさって、一すじの水さえ動かなかった。しんとした水の上に、すういすういと走る水馬が、水流を曳いて辷っているだけだった。
おあいは、そのとき不意に卯の花がこんもりと腐れているかげに、れいの内儀のさした日傘が、すぼめたまま投げ出されてあった。おあいがそれを手にとると、何も彼も分ったような気がした。堀の物らしい遺留品とては一つも見当らなかった。
おあいは、ぐったり疲れて草の上に坐っているうち、ふしぎに水中にちらつく或る影を見つけた。それは堀にも似ていたし、そうでない他の人物のようにも思えた。