Classiques japonais avec furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lisez 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 454 caractères · 357 écrans
その高声がよく私をいらいらさせた。
「夕方はおれが取りに行く、たかが道路がぬかっているまでじゃないか。」
私はかっとし、夕方、瓶をさげ、八幡さまの垂れた緑の重い枝の下をぬけ、藍染川の上手の、二年ばかり前まで黍の葉の流れていた下田端へでたが、泥濘った水溜りに敷き込んだ炭俵の上を踏むと、ずぶりと足の甲へまで泥水が浸った。それを抜こうとするため、ちからが余りひょろついて、危ぶなく倒れようとした。ハネ泥で裾まわりが濡れ気もちが悪かった。
土間の湿けた格子内の、三尺式台の上に、瓶が出て居り、白いものが這入っていた。あけられた障子うちに、すぐ床をしき、奥さんらしい人がねそべり、よく働いたらしい膏のぬけた蹠がこちらへ向いて見えた。見当をつけ此処の家だなと思った。
「ごめんなさい。」
「はあ。」
「お乳をいただきに参りました。」
「そこに出してありますから……。」
奥さんは、そう寝そべりながら言ったが、蹠の位置はうごかなかった。わたしは瓶を手巾につつみ、
「いつもお忙しいところを済みません。これはいつころのお乳でしょうか。」
「今とっただけですよ。」
奥さんはやはり起き上りそうもなかったので、わたしは鶏卵の包みをそっと置き、「粗末なものでございますが、どうぞおおさめなすって下さい。