Classiques japonais avec furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lisez 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 454 caractères · 357 écrans
」
「いや。」
父親は、むずかしい顔をすることによって、己れの心にある悲しそうな表情をあらわすまいと努めるように、眉をしかめた。
「お前が聞こうという気さえもって居れば、きっと聞えるにちがいないんだ、尤もおまえにその気がなければ仕方がないが……。」
童子は、なかば疑うようにそしてなかば父親をなぐさめるように言った。
「僕、聞こうという気はあるの。」
「それなら聞えるよ。きっときこえるに決まっているよ。」
母親も、ことばを揃えた。
「聞えますとも。」
が、その三人の影はまるで有るか無いかのように、畳と壁の上に稀薄であった。かれらは何か幽遠なものにでも対いあうように、ひとりずつが、何を手頼ってよいか、そして何を信じてよいかさえ分らなかった。かれらは唯忘れた夢をとりもどすように様々な己れの考えを考えるにすぎなかった。
笏梧朗は、これはよく見る夢だと思い、母親は、これが次第に現実につながってゆくものだという風に、女らしい未練な考えにふけっていた。
が、童子だけは自分がどこから来ているかということを、かれはかれの本体に呼吸づいているだけ瞭然と知っていた。
「お母様、僕はもうかえるの。