Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lisez 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 454 caractères · 357 écrans

Aozora Bunko

――父は黙って、その桃花村を指してあれを見よと娘に言った。

「まあ、一日ずつ紅くなってまいりますのね。」

「あのなかに白い四角なものがあるだろう、あれは何のためにあるのかお前は知っているかね。」

「いいえ。」

「あそこにわれわれと同じい人間がいるんだよ、お前は知らないけれど……。」

娘はその美しい桃花村一帯のかげが、湖べりに映ってきらきら耀いているのを眺めていたが、べつに何とも言わなかった。――そこへは遠くもあり父にしても母にしても、まだ行ったことのないらしいところだった。

――或る波の穏やかな日に、娘は母おやと一しょに舟に乗って、湖心に近い、紫色の島の影のしているところに居た。――そのとき母親と娘との眼路の果に、まだ春浅い茜いろに燻されたような桃花村が静かすぎる空につづいて長閑げに見えた。

「お母さま。」

娘はそう母親を呼びかけて、「わたしあの村へ行って見たい気がしますの。」と瞳をいきらせて言った。

が、母親の返辞は意外にも娘の耳もとに、曾つて聞いたことがないほど冷たくむしろ意地悪くきこえた。

「いいえ、あそこへ行ってはなりません。あそこはお前のような綺麗な心を有っているものの行くところではありません。