Classiques japonais avec furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lisez 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 72 070 caractères · 143 écrans
……
由紀は、人の身の血も汐も引くかと思う、干潟に崩家を守りつつ、日も月も暗くなりました。……村の口の端、里の蔭言、目も心も真暗になりますと、先達て頃から、神棚、仏壇の前に坐って、目を閉じて拝む時、そのたびに、こう俯向く……と、衣ものの縞が、我が膝が、影のように薄りと浮いて見えます。それが毎日のように度重ると段々に判然見える。姿見のない処に、自分の顔が映るようで、向うが影か、自分が影か、何とも言えない心細い、寂しい気がしたのだそうです。絣は那様でない、縞の方が、余計にきっぱりとしたのが、次第に、おなじまで、映る事になったと言います。ただ、神仏の前にぬかずく時、――ほかには何の仔細もなかった。
処が当日、私たちの着きますのが、もう土橋のさきから分ったと言うのです。それは別に気にも留めなかった。黄昏に三人で、時雨の松の見霽へ出掛けるのを、縁の柱で、悄乎と、藤棚越に伸上って見ていると、二人に連れられて、私の行くのが、山ではなしに、干潟を沖へ出て、それ切帰らない心持がしてならなかった。無事に山へ行きました。――が、遠目金を覗くのも、一人が腰を掛けたのも、――台所へ引込んでまでもよく分る。