Classiques japonais avec furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lisez 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 72 070 caractères · 143 écrans
四
」
「痛かろうなあ。」
「其処が化けるんだから、……皆、兜を着ているそうだよ。」
「じゃ、僕ン許の蓮池の緋鯉なんかどうするだろうね?」
其処には小船も浮べられる。が、穴のような真暗な場末の裏町を抜けて、大川に架けた、近道の、ぐらぐらと揺れる一銭橋と云うのを渡って、土塀ばかりで家の疎な、畠も池も所々、侍町を幾曲り、で、突当りの松の樹の中のその邸に行く、……常さんの家を思うにも、恰もこの時、二更の鐘の音、幽。
四
町なかの此処も同じ、一軒家の思がある。
民也は心もその池へ、目も遥々となって恍惚しながら、
「蒼い鎧を着るだろうと思う。」
「真赤な鰭へ。凄い月で、紫色に透通ろうね。」
「其処へ玉のような霰が飛ぶんだ……」
「そして、八田潟の鮒と戦をしたら、何方が勝つ?……」
「そうだね、」
と真顔に引込まれて、
「緋鯉は立派だから大将だろうが、鮒は雑兵でも数が多いよ……潟一杯なんだもの。」
「蛙は何方の味方をする。」
「君の池の?」
「ああ、」
「そりゃ同じ所に住んでるから、緋鯉に属くが当前だけれどもね、君が、よくお飯粒で、糸で釣上げちゃ投げるだろう。ブッと咽喉を膨らまして、ぐるりと目を円くして腹を立つもの……鮒の味方になろうも知れない。