Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きなしぎく
文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
北村 四海
Lisez 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会 (きなしぎく) de 北村 四海 (きたむらしかい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 633 caractères · 9 écrans
鬼無菊
信州の戸隠山麓なる鬼無村という僻村は、避暑地として中々佳い土地である、自分は数年前の夏のこと脚気の為め、保養がてらに、数週間、此地に逗留していた事があった。
或日の事、自分は昼飯を喫べて後、あまりの徒然に、慰み半分、今も盛りと庭に咲乱れている赤い夏菊を二三枝手折って来て、床の間の花瓶に活けてみた、やがてそれなりに自分はふらりと宿屋を出て、山の方へ散歩に行ったのである、二時間ばかりして宿屋へ帰った、直ぐ自分の部屋へ入ると私は驚いた、先刻活けたばかりの夏菊が最早萎れていたのだ、一体夏菊という花は、そう中々萎れるものでない、それが、ものの二時間も経ぬ間にかかる有様となったので、私も何だか一種いやな心持がして、その日はそれなり何処へも出ず過した、しかし幸と何事も無く翌日になったが、未だ昨日の事が何だか気に懸るので、矢張終日家居して暮したが、その日も別段変事も起らなかった、すると、その翌日丁度三日目の朝、突然私の実家から手紙で、従兄が死んだことを知らして来た、書中にある死んだ日や刻限が、恰度私が活けた夏菊の萎れた時に符合するので、未だに自分は不思議の感に堪えぬ