Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゃよう
斜陽
Lisez 斜陽 (しゃよう) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 822 caractères · 176 écrans
とおっしゃっる。
そうかしら? と思いながらも、溺れる者の藁にすがる気持もあって、村の先生のその診断に、私は少しほっとしたところもあった。
お医者がお帰りになってから、
「よかったわね、お母さま。ほんの少しの浸潤なんて、たいていのひとにあるものよ。お気持を丈夫にお持ちになっていさえしたら、わけなくなおってしまいますわ。ことしの夏の季候不順がいけなかったのよ。夏はきらい。かず子は、夏の花も、きらい」
お母さまはお眼をつぶりながらお笑いになり、
「夏の花の好きなひとは、夏に死ぬっていうから、私もことしの夏あたり死ぬのかと思っていたら、直治が帰って来たので、秋まで生きてしまった」
あんな直治でも、やはりお母さまの生きるたのみの柱になっているのか、と思ったら、つらかった。
「それでも、もう夏がすぎてしまったのですから、お母さまの危険期も峠を越したってわけなのね。お母さま、お庭の萩が咲いていますわ。それから、女郎花、われもこう、桔梗、かるかや、芒。お庭がすっかり秋のお庭になりましたわ。十月になったら、きっとお熱も下るでしょう」
私は、それを祈っていた。早くこの九月の、蒸暑い、謂わば残暑の季節が過ぎるといい。