Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 353 caractères · 371 écrans

Aozora Bunko

「縁者はないか」

「妹がおりまする」

「なにしておる」

「土地の農家に嫁いておりまして、もう子もあろうと存じます」

「帰りたくないか、一度は」

「そんな気は起りませぬ。野武士の兄が帰って来たと聞えると、妹が、良人の縁者や世間へ、辛い思いをすると思われますから」

「――が、それは以前のこと、今では洲股城の家中、ひとかどの侍、何のひけ目もなかろうではないか」

「しかし、不破郡は、西美濃の要地でございますぞ。敵国へなにしに」

「ア、なるほど、そうであったな」

藤吉郎は、分りきっていることに、何度も頷いて――その頷きのうちに意を決めたらしく、

「しからばその方に、わしの供をいいつける。なるべく人眼立たぬ身なりして――旅支度であるぞ――宵の口までに、もう一度、この庭先の木戸まで来ておれ」

と、いいつけた。

――後で。

「にわかに、どこへお出でになるお考えか」

蜂須賀彦右衛門は、不審そうに訊ねた。

その耳へ、藤吉郎は、声をひそめて、

「実はな。……栗原山まで」

と、囁いた。

彦右衛門は、本気かと、疑うような眼をして彼の面を見直した。――先頃から藤吉郎の腹中に、何があるかは、およそ推量をつけていたが、