Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 353 caractères · 371 écrans
「ア。ありがと……。小父さん」
「おお、小熊どのか。焦げつきそうであったから鍋を下ろしておいた。煮加減もよいらしい」
「もうおらの名を覚えたんだね。小父さんは」
「今、奥のほうで、半兵衛先生が、そう呼んだろ。……どうだ、ついでに先生へ、取次いでくれたか」
「呼ばれたのは、ほかの用さ。取次いだって、むだなことを、先生に聞かせても、怒られるだけだから止めた」
「はてさて、お前は師のいいつけを守ることが固いなあ。感心だ、感心だ」
「ちぇッ、痩せ我慢をいっていらあ」
「いや、その通り、おれにとっては歯がゆいが、わしが師ならそう褒める。……だから嘘じゃない」
すると、やや離れている厨の板敷に、誰か、紙燭を持って立った。小熊小熊と、そこで呼ぶ声に、藤吉郎もふり向いてみると、あたりの煤けた闇をそこだけ切り抜いたように、霞に小桜染の小袖を着、それへ紅梅色の腰衣をまとった十七、八の麗しい処女のすがたが、その白い手に持たれている明りの中に揺々と見えた。
「なんですか。――おゆう様」
小熊は、もうその前へ行って、用事をうけていた。用が足ると、小桜ぼかしの袖は、灯と共に、暗い廊をすべって、壁のうしろへ隠れてしまった。