Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 353 caractères · 371 écrans
そして、どの眼も、刮と大きく、真昼の雲をにらんでいる。
桃畑の端れに、庄屋の家がある。家は大半焼け落ち、焼け跡の井戸のそばには牝牛が焼け死んでいた。悲しげにうろついている仔牛の声が耳につく。すぐ側の陣幕から顔を出した将が、
「うるさいな。おいッ、この仔牛をどうかしろ」
と、呶鳴ると、足軽の一人が、槍の柄で仔牛のしりを力まかせに打った。仔牛は、菜種畑へいっさんに駈けたが、畦の小川に落ちて、なお悲しげに啼きぬいていた。
幕の外に立っている歩哨の兵が、それを見て笑った。――が、急に、厳粛な顔へ戻って、内から聞える声に耳を欹てた。
楯や陣幕を繞らしたそこの本部の中では、さっきから激論が交わされていた。夜明け方、轡をならべてこの村へはいった各部隊の将星たちが、端なくも、これからの作戦上に、意見の相違を来して、互いに譲らないためらしい。
滝川一益は、桑名、蟹江の二城を指揮して、早くから伊勢と対峙していたこの方面の主将であるから、彼の決裁に待っていいはずであるが、さて、
「いずれにも一理はある」
と、のみで、敢えて彼はそのどっちへも、賛否を明らかにしなかった。
論争は、ここ二十日ほどの間に、前後して、伊勢の戦野に参加した新鋭の援軍の将たちの間に闘わされて、一部は、