Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 353 caractères · 371 écrans

Aozora Bunko

小六正勝は、そのまま縁に腰かけ、やがて来る者を待っていた。

織田信長の居城清洲とこことは、わずか数里の間近であった。もちろん織田領の内であるはずだが、小六正勝は信長にゆるさなかった。かつて織田家の禄とては一粒も喰んでいないのである。

父祖このかた、美濃の斎藤家とは、扶け合ってきた仲だ。野武士とて義はかたい。いやむしろ義と侠と然諾の風を重んじることは、乱世の武門よりまさっている。殺伐掠奪はその業としても、一族は親子のような関係に結ばれていて、不義軽薄をゆるさない。

彼は、その鉄則の上にある、大家族の家長なのだ。

先に、山城守道三は、養子の義龍に殺され、その義龍も去年病死したりして、美濃は内紛に次ぐ内紛のみだれにあり、事実、小六への影響としても、道三の在世中は仕送っていた年々の禄米や何かの手当も、その後は絶えているのである。

もっともそれは、斎藤家の意志よりも、織田方の作戦が、当然、美濃との通路を遮断しているためでもあった。

小六はしかし、糧道は断たれても、義は断たなかった。むしろ反織田の気勢を昂め、近年では犬山城の下野守信清と通じて、暗に信長への離反を扶け、織田領内の攪乱を企てたりしている闇の謀将でもあった。