Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 320 caractères · 398 écrans
……余りにもまだ何も知らぬ頑是ない者にござりますれば」
こういっているのは、敵方の将だった。それは、三木城の家老、後藤将監基国にちがいない。官兵衛孝高が昵懇のものといえば、去年の晩秋のころ、秀吉の使いとして、降伏の勧告に赴いたとき、親しく城中で会見したことがあるという――その後藤将監以外に、知っているものはないはずである。
「やあ、それへ、お連れ召されたか。どれどれ、お会い申そう。……御家来、背から下ろして、その和子をこれへ」
やさしく麾いているのは、官兵衛孝高である。将監の従者は、主人のうしろからおそるおそる進んで、背に紐で十文字に負って来た幼い者を解いて下ろした。
「お幾歳じゃ」
「お八ツにおなり遊ばします」
日頃から傅役として侍いていた郎党であろう。解いた紐で眼の涙を拭きながら、答えると、辞儀をして、うしろへ退った。
「お名は」
こんどは、父なる人の将監が答えて、
「巌之助といいます。母もすでに亡し……父もやがて。――官兵衛どの、切に、行く末よろしくご養育を」
「お案じあるな。それがしもまた子をもつ父。あなたの父としてのお気持はよう分る。かならずそれがしの手にお育て申して、成人の後は、後藤の家名を絶やさすまい」