Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 903 caractères · 400 écrans

Aozora Bunko

すこし微熱があるとかで、典医から薬を上げたということを聞いていた側臣たちが、もし夜半の雨にでも逢われては、と案じて云ったことばに対して、光秀があたりの者へ答えながら、また、門内門外に佇んでいる家中たちへも、わざと聞えるように云った声であった。

光秀のすがたを見ると、供の者は、松明の火へ松明の先を蒐めて一つの火から無数に増やした。そして続々、焔を曳いて先頭から歩き出した。

半里も進むと、果たして、白い雨のすじが闇を截って来た。盛んに赤い煤煙を噴く松明の焔へも、

……ぷつ、ぷつ、ぷつ

と、ひと粒ひと粒、雨が音をたててはじけた。

「安土のお城に、まだ人々は寝もせず、夜を更かしているとみゆる」

光秀は、雨を見なかった。駒を立てて、湖岸のあとを振り向くと、そこには墨のような宇宙にもなお巍然たる大天守があった。雨の夜はよけいに光るという屋上の黄金の鯱は、この闇夜に何を睨んでいるのかと思われる。

そして舎殿楼閣の沢山な火は、湖に映じて寒いほど戦いていた。

「殿、殿。降りだして来ました。お風邪をひどくするといけません」

主人の馬わきへ、馬をすり寄せて、側臣のひとり藤田伝五は、光秀の背へ雨具を着せかけた。