Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 903 caractères · 400 écrans

Aozora Bunko

「やはり右府様の仰せられたように、異教のことも、噛んで吐き出す、で宜しいのではないかと思われます。いや唯今、そう、ふと覚りました」

「それよ。それ」

信長はわが意を得たもののごとく、転じてその眼を宗室へ、

「案じるな、大きく掴め。いにしえ、道真公が、和魂漢才と唱えて、時人の弊風と、遣唐使の制を戒めたことがあるが、唐風の移入も、西欧の舶載も、春なれば春風の訪れ、秋なれば秋風の湿り、この国の梅や桜の色は変らぬ。むしろ池水に雨が注げば池を新たにする。――本能寺の濠を以て海洋を測るから間違ってくる。そうじゃないか、宗室」

「いや、分りました。まこと、濠は濠で」

「海の外は、海の外よ」

「老ゆれば、いつか島井宗室も、濠の蛙となりましたかな」

「どうして、そちは鯨だ」

「いや、とんと、眼幅の狭い鯨ではありました」

濠ということばから思い出されたか、気がつくと、伽藍の天井高く、夜気は更けて、遠くに、濠の蛙の声がする。

「誰ぞ、白湯を持て」

うしろに居眠っている小姓へいいつけて、信長はなお夜に飽かない顔をしていた。もう食べもせず飲みもせず、夜噺の興があるだけだった。

「お父上」

信忠は、膝を辷らしかけて、