Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 903 caractères · 400 écrans

Aozora Bunko

奥の小間や控えの辺りは、それに反して濛々と晦い。濃い煙で、中廊下も袋廊下も見さだめ得ないほどだった。

森蘭丸は、いま閉て籠めた一間の杉戸を、その背で守るが如く抑えて、凝然と突っ立っていた。

血ぬられた槍を手に、右を見、左を見、跫音と感じれば、すぐ槍を向けた。

「……お声はまだか」

室内の気はいにも、彼は全身を耳にしていた。たった今、そこへ駈け入った白きものの影こそ、右府信長にちがいない。

寺中一円に火を見、また側近の者があらまし討死を遂げて行く最後の一瞬まで、彼は戦いきった。敵の雑兵をも相手にして雑兵の如き奮戦すら敢えてした。「名もなき者に首を取られんことの口惜し――」などという生やさしい名聞などは彼の顧慮するところでない。――死のうは一定だ。いのちを惜しむのではない。いのちの持つ大業を惜しむのだ。

二条妙覚寺は近い。所司代邸はすぐそこだ。市中に在宿の侍たちもある。万が一にもあれ、外からの聯絡があれば、血路をひらき得ないこともないと彼は思う。そういう閃めきと、いや謀叛人はあのきんか頭である。明智ほどな者が、かかることを仕出来すからには、水も漏らさぬ用意の上であろう。