Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 757 caractères · 375 écrans

Aozora Bunko

松村友十郎だけが、幕裾にひざまずいた。そして物見を報じていう。

「岩崎山には、早や敵の一兵もおりませぬ。万一、旗をかくして、埋伏の計もやあると、入念に見ましたが、守将高山右近長房以下悉く、一刻半ほど前に、田上山(羽柴秀長の陣地)のふもと辺りまで、遠く退却いたしたようにござりまする」

玄蕃允は手を打って、

「逃げおッたか」

と、哄笑し、幕僚たちを顧みて、重ねて、

「――右近は逃げたと申すよ。迅い奴かな。わはははは」

と、全身を揺すって笑った。

祝盃の余酔がまだ醒めきっていないらしい。玄蕃允は、なお笑いやまず、

「むかし富士川に平家あり。今日、岩崎山に高山右近あり。いやはや、とんだ道化者よ。武門の生れぞこないよ。嘲うても嘲いきれぬ」

このとき、さきに狐塚の柴田勝家の本陣へ、戦捷報告にやった使いが、勝家の旨を帯びて帰って来た。

「使番。――戻ったか」

「は。ただ今、帰陣いたしました」

「御本陣狐塚の方面には、敵のうごきはないか」

「別条もない由にござりました。お館にもいとお気色ようて」

「さぞ、およろこびなされたであろうな」

「さればで――」

使番は、玄蕃允のたたみかけるような問いに、汗を拭うひまもなく答えつづけた。