Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 757 caractères · 375 écrans
それゆえどうしても大岩山に踏みとどまるお覚悟と申され、如何とするも、意志を変じるお気色は見えず、やむなく立ち帰りました――との口上を有態に復命した。
――と、勝家は、眼のくぼをぎらとさせた。憤怒をまぜた骨肉の感情をよこに沸らせて、
「ば、ばかな」
と、血を吐きそうな叫びをなし――大きなうめきの下に、また、
「途方もない男よ」
と身をふるわして罵った。
「弥惣っ、弥惣っ」
右を見、左を見、次室の武者溜りの内へ、こう甲だかく呼びたてた。
「吉田弥惣どのですか」
毛受勝助が問い返した。勝家は、その勝助へまで当りちらすように、
「そうじゃよ。早く呼べ。弥惣にすぐこれへといえ」
あわただしい跫音が、寺中を駈けた。呼ばれて来た吉田弥惣は、またすぐ勝家の命をうけて、大岩山へ馬をとばして行った。
長い日もようやく暮れ、若葉の木蔭に、篝の火色が揺れ始めていた。――勝家の胸奥を象徴するもののように。
二里余の往復は、飛馬一鞭のまたたく間だった。吉田弥惣は、忽ち帰って来た。
「これが最後のおことばとまで――切にお諫めいたしましたが、玄蕃允様には、ついにお肯き入れもございませぬ」
六度目の復命もこうだった。