Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 406 caractères · 381 écrans

Aozora Bunko

「一体、何事かな」

「寧子どのの身についてで」

「寧子のことで?」

「されば」

「寧子とお身と、何の関りがあるのか」

「仔細あって、かたい約束を取り交わしておるような間がらでして」

「……?」

真面目でいうのか、冗談でもいっているのかと、犬千代は、彼の顔を見澄ましていたが、余りにも、藤吉郎の大真面目な顔つきに、突如として笑い出した。

「ふーむ、そうか。寧子と約束を……。はははは、それは至極よかろう」

犬千代は問題としなかった。恋敵とするには余りに相手が不足すぎる。うぬ惚れでなく、どう公平に較べても、自分を見代えて、この猿殿と約束を交わす物好きな女性はよもあるまい。――町の雑魚女や足軽の娘程度なら知らぬことである。弓之衆の浅野又右衛門の家庭は、典型的な武家の家だし、あの息女には、ひと通りな教養もある。

「そこで……?」

と、犬千代は相手の言葉を、むしろ愛すべき稚気――と恕しているような寛度で、後を促した。

率直に、彼は云い出した。けれどここ生涯の大事とばかり、懸命は顔にあらわれていた。

「犬千代どの」

「なにか」

「あなたは、寧子が好きですか」

「寧子?」

「浅野又右衛門どののお娘」