Classiques japonais avec furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Lisez 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 092 caractères · 45 écrans
普請中
渡辺参事官は歌舞伎座の前で電車を降りた。
雨あがりの道の、ところどころに残っている水たまりを避けて、木挽町の河岸を、逓信省の方へ行きながら、たしかこの辺の曲がり角に看板のあるのを見たはずだがと思いながら行く。
人通りはあまりない。役所帰りらしい洋服の男五六人のがやがや話しながら行くのにあった。それから半衿のかかった着物を着た、お茶屋のねえさんらしいのが、なにか近所へ用たしにでも出たのか、小走りにすれ違った。まだ幌をかけたままの人力車が一台あとから駈け抜けて行った。
果して精養軒ホテルと横に書いた、わりに小さい看板が見つかった。
河岸通りに向いた方は板囲いになっていて、横町に向いた寂しい側面に、左右から横に登るようにできている階段がある。階段はさきを切った三角形になっていて、そのさきを切ったところに戸口が二つある。渡辺はどれからはいるのかと迷いながら、階段を登ってみると、左の方の戸口に入口と書いてある。
靴がだいぶ泥になっているので、丁寧に掃除をして、硝子戸をあけてはいった。中は広い廊下のような板敷で、ここには外にあるのと同じような、棕櫚の靴ぬぐいのそばに雑巾がひろげておいてある。