Classiques japonais avec furigana
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にほんのび
日本の美
中井 正一
Lisez 日本の美 (にほんのび) de 中井 正一 (なかいまさかず) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 96 126 caractères · 187 écrans
あの強い魂をよくあらわしているのであります。あのラオコーンの彫刻の像が、じっとたえて吐いている吐息のような強いあきらめのこころが、このギリシャのエンタシスの柱によくあらわれているのであります。
それに反して、あのヘブライの建築、後のすべての教会の建築の柱がそうでありますが、この教会の柱と塔の様子は、このギリシャ建築とおよそ異なったものなのであります。
教会の建築は皆さまがごらんのように、それらの柱は、全部いっせいに空に向って立ち向っているのであります。天に登るためにつくった「バベルの塔」のように、一つ一つの柱、一つ一つの塔のさきは、天に登らんとして登りきれなかったかのように、空に向って尖り、つきささり消えていくのであります。それは魂としては「あこがれの魂」であります。
ギリシャが「あきらめの魂」とすれば、何か遠くあこがれ、憧憬し、やまぬこころがこの建築の様式にあらわされています。ギリシャが過去の民族の栄光をうたい、現在のかなしみにたえているとすれば、ヘブライ建築は、遠い未来をあこがれて、現在をのがれているのであります。
ところが、日本の茶室形式は、その室が、すでに空虚そのものであるように、その柱も、そこに何の重さを感ぜず、また何も天を貫かんともしないのであります。