Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans
彼は更に第二段の探索に取りかかった。
「いかがでございましょうか。その善周さんという人のお部屋を、ちょっと見せていただく訳にはまいりますまいか」
「はい。どうぞこちらへ」
住職は故障なく承知して、すぐに半七を善周の部屋に案内した。部屋は六畳で、そこには二十二三の若僧と十五六の納所とが経を読んでいたが、半七のはいって来たのを見て、丸い頭を一度に振り向けた。
「ごめん下さい」と、半七は会釈した。ふたりの僧は黙って会釈した。
「善周さんのお机はどれでございます」
「これでございます」と、若僧は部屋の隅にある小さい経机を指さして教えた。机の上には折本の経本が二、三冊積まれて、その側には小さい硯箱が置いてあった。
「拝見いたします」
一応ことわって、半七は硯箱の蓋をあけると、箱のなかには磨り減らした墨と、二本の筆とが見いだされた。筆は二本ながら水筆で、その一本はまだ新らしく、白い穂の先に墨のあとが薄黒くにじんでいるだけであった。半七はその新らしい筆をとって眺めた。
「この筆はこの頃お買いなすったんでしょうねえ。御存じありませんか」
それは善周が死んだ前日の夕方に買って来たものらしいと若僧は云った。