Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans

Aozora Bunko

いつも東山堂で買うのであるから、それも無論に同じ筆屋で買って来たのであろうと彼は又云った。半七は更にその筆の穂を自分の鼻の先へあてて、そっとかいでみた。

「この筆を暫時拝借して行くわけにはまいりますまいか」

「よろしゅうござる。お持ちください」と、住職は云った。

その筆を懐紙につつんで、半七は部屋を出た。

「善周さんのお葬式はもう済みましたか」と、彼は帰るときに住職に訊いた。

「きのうの午すぎに検視を受けまして、暑気の折柄でござれば夜分に寺内へ埋葬いたしました」

「左様でございますか。いや、これはどうも御邪魔をいたしました」

寺を出ると、半七はすぐに東山堂へ行った。娘の葬式はゆうべの筈であったが、俄かに検視が来たために刻限がおくれて、今朝あらためて、橋場の菩提寺へ送ることになったので、きょうは勿論に商売を休んで、店の戸は半分おろしてあった。戸のあいだから覗いて見ると、小僧の一人がぼんやりと坐っていた。

「おい、おい。小僧さん」

半七は外から声をかけると、小僧は入口へ起って来た。

「皆さんはお送葬からまだ帰りませんかえ」

「まだ帰りません」

「小僧さん。ちょいと表まで顔を貸してくださいな」