Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

すると、こっちの女の児は手に掴んでいる魚を抛り出して、わあっと泣き出しました。何が何だか判らないが、いつまでも子供を相手にしてもいられないので、三人はそのまま其処を立ち去って、随身門をはいって御社に参詣、もとの宿屋へ帰って来ました。

唯これだけならば別にお話の種にもならないのですが、その晩は宿屋も閑だったと見えて、女中ふたりが座敷へ来て酒の酌をする。そのときに例の魚の降って来た話が出ると、女中はその女の児を知っていました。男の児は誰だか判らないが、女の児はお三ちゃんに違いないと云うのです。お三の父親の友蔵は、四年ほど前までは布田の宿で多摩川の漁師をしていました。布田は府中よりも一里二十三丁の手前で、こんにちでは調布という方が一般に知られているようです。なにしろ府中と布田とは直ぐ近所で、土地の者は毎日往来していると云うことでした。

友蔵はどうも質の良くない人間で、博奕を打つ、喧嘩をする。そのほかにも何か悪いことをしたので、土地の漁師仲間からも追いのけられて、今では府中の宿へ流れ込んで、これという商売も無しにぶらぶらしている。女房には先年死に別れて、お国とお三という二人の娘がある。