Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans
「さあ、それはどうですか」
「お此はお糸と心安くしていたか」
「どうですか」
「お糸はお此が誘い出したのじゃあねえか」
「そんな事はあるまいと思いますが……」
「おい、伊之。顔を見せろ」
「え」
「まあ、明るいところで正面を向いて見せろよ。おれが人相を見てやるから……」
伊之助はやはりうつむいたままで、すぐには顔をあげなかった。半七はその頤に手をかけて、無理にあおむかせた。
「これ、隠すな。おめえはお此と訳があるだろう。お此は年上の女で入墨者だ。あんな者に可愛がられていると、碌なことはねえぞ。お糸はお此に誘い出されて、売り飛ばされたか、殺されたか。はっきり云え」
伊之助は身をすくめたままで、唖のように黙っていた。
「さあ、云え。正直に云えばお慈悲を願ってやる。お此は贋金づかいで召し捕られて、もう何もかも白状しているのだ。それを知らずに隠し立てをしていると、おめえも飛んだ係り合いになるぞ。贋金づかいの同類と見なされて、この鈴ヶ森で磔刑になりてえのか。女にばかり義理を立てて、病人の親に泣きを見せるな。この親不孝野郎め」
伊之助は真っ蒼になって、その眼から白い涙が糸を引いて流れ出した。