Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くらがりのおとまつ
暗がりの乙松
山本 周五郎
Lisez 暗がりの乙松 (くらがりのおとまつ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 992 caractères · 25 écrans
「そうかい、それは御苦労だったな」
亭主は慇懃に挨拶をして立去った。
どうなることかと、腋の下へ冷汗をかいていた三次は、検めの人声が遠ざかり、やがて階下へ消えて行くと、いきなり座蒲団から滑下りて両手をついた。
「ありがとう存じます、お蔭で危いところを助かりました、暗がりの親分――」
「何だと?」
男の眼がぎらりと光った。
「お怒りなすっちゃあ困ります」
三次は声をひそめて、「あっしが仕事をしようと、部屋をぬけ出すたびにお唄いなすった薗八節、しかも文句はきりぎりす……三年まえに江戸から足をお抜きなすった、暗がりの乙松親分が御自慢の唄、江戸八百八町、今でも知らねえ者あごさんせん」
「そうかえ。薗八のきりぎりす、そんなに名が通っていたかえ、そいつぁ大笑いだ」
「あっしゃあまだ駈け出しで、野火の三次という者でござんすが、――改めて親分にお願えがござんす」
「何だかいってみねえ」
「こんなけちな青二才でお気にゃ召しますめえが、どうか子分にしてやっておくんなさい、お願え申します」
「ふっふ、いまの腕でか――?」
「今なあまったくどじを踏みやした、その代り今度は外れっこのねえ仕事をお眼にかけやす、それを手札代りにどうか」