Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かかれざるさくひん

書かれざる作品

豊島 与志雄

Lisez 書かれざる作品 (かかれざるさくひん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 021 caractères · 4 écrans

Aozora Bunko

横須賀の海岸に陸から橋伝いに繋ぎとめられ、僅かに記念物として保存されている軍艦三笠を、遠くから望見した時、私は、日本海大海戦に勇名を馳せた軍艦のなれのはてに、一種の感懐を禁じ得なかった。そしてその感懐が、ひいて三笠に対する興味となって、「軍艦三笠」と頭する小説を書いてみようと思うようになり、少しばかり記録を調べにかかったことがある。その時私の頭の中には、一個の存在として三笠が映っていた。軍艦という構造物ではなく、生きた一つの個体なのである。先ず、進水式があげられて、彼女は海に浮ぶ。当時他に比肩するもののない美丈夫なのだ。日本の近海を誇らかに漫歩する。そのうちに日露戦争となり、日本海の海戦には、旗艦として僚艦の先頭に立ち、縦横に駆馳して旗艦を逐い、輝かしい凱旋をする。然るに其後、彼女の生活は次第に衰運に向かい、新式の優秀な軍艦が相次で現われ、彼女は遂に記念物として、ミイラ的な存在を横須賀沖に続けることになる……。そういうことを、じっと考える場合、乗込員などはもう私の頭には映らず、艦長や司令官なども彼女のうちの一微粒子となり、「皇国の興廃……。」の信号も彼女の顔面筋肉の僅なおののきに過ぎなくなり、ただ彼女の姿だけがそこに現われるのだった。