Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つきのまつやま

月の松山

山本 周五郎

Lisez 月の松山 (つきのまつやま) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 451 caractères · 41 écrans

Aozora Bunko

「おい、どうしたちび、元気か」

孝也は檻の前に跼んだ。仔熊は眠っていたらしい。だがすぐに眼をさまし、餌でも呉れると思ったものか、喉を鳴らしながら、がたがたと檻を揺すった。

「お母さんのところへ帰してやるぞ」と孝也は云った、「おれは両親のところへ帰る、たぶん帰ることになると思う、だからおまえも帰らしてやる、わかったかちび」

檻の戸口は藤蔓で絡げてあった。孝也は脇差を抜いてそれを切り、戸口をあけた。仔熊は出て来て彼を見あげた。仔熊の眼が青白く光った。どうやら遊ぶつもりらしく、威嚇の唸り声をあげながら、彼の足へとびかかって来た。

「ふざけるんじゃない、帰るんだ」孝也は立ちあがった、「さあ、山へ帰るんだちび、こっちへ来い」

孝也が歩きだすと、あとからじゃれながらついて来た。彼は茶畑をぬけてゆき、裏の生垣の隙間から仔熊を出してやった。その外はすぐに山へ続く叢林である、仔熊のがさがさ暴れる音が、遠のいてゆくのを聞きすましてから、孝也は戻って、召使長屋を叩き、弥六を呼びだした。弥六はもう寝ていたとみえ、寝衣の上に半纒をひっかけて出て来た。

「こっちへ来てくれ」

孝也は長屋から離れた。