Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あさがおぞうし

朝顔草紙

山本 周五郎

Lisez 朝顔草紙 (あさがおぞうし) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 019 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

まだ半ば夢見る心地で、灯明の揺れる仏壇の前へ坐った信太郎は、線香をあげ、鐘を打って静かに合掌した。

信太郎は泣かなかった、不思議なくらい泣けなかった。ただその胸に出来た空虚な穴のようなものが時と共に大きくなり、息苦しい絶望の感じが犇々と五体を圧しつけるのだった。監物は黙って、痛ましそうにその様子を見戍っていた。もう慰めの言葉などは云うすべもなかったのである。

寝苦しい一夜が明けた。

朝は清々しい微風と共に快よく晴れたが、信太郎はゆうべよりも新しい悲しみのなかに眼覚めた。気がつくと何処か、さして遠くない部屋から琴の音が聞えて来る、哀調のみなぎる曲であった。じっと耳を澄ましていると、やがて曲に合せて切々たる唄が、……

うらめしのわが縁

薄雪の契りか消えにし

人の形見とて

涙ばかりや残るらん――

朝顔の曲である、絃の音色も唄も、そのまま信太郎の哀傷を歌うもののようだ。

「……文絵、――文絵……」

思わず低く呼んだが、こみあげて来る涙を感じると慌てて起上り、着換えをして庭へ下り立った。

朝食の席に着いた時、監物の隣に一人の娘が坐った、色の透徹るように白い、眉に憂いを含んだ、淋しげな然し驚くほど美しい顔だちである。