Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ざくろ

柘榴

山本 周五郎

Lisez 柘榴 (ざくろ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 342 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

五

その婦人は玄関でこう云いながら笑った。「おわかりにならないでしょ、いかが」

「まァ、戸沢の菊江さま」真沙はむすめのように叫んだ。「菊江さまでしょう。まあびっくりしましたわ。ようこそ、さあどうぞ」

客は戸沢数右衛門の末娘だった。真沙より一つ年下で、いつか戸沢家に半年ほど世話になったとき親しくした。その頃もうどこかへ縁談が定っていて、真沙が江戸へ去ったあと嫁いだということは聞いたが、互いの境遇の変化もあって、それ以来まるで思いだしもしなかった人である。嫁ぎ先は大倉主殿という老職で、現在は良人と隠居ぐらしだという。真沙は百年の知己に会ったほども嬉しく、金造をその家へ使いに遣って、その夜はむりやり泊っていって貰った。

五

桃山での生活はしぜんとおちついていった。菊江の訪れから糸をひいて、折おり客も来るようになり、俳諧や茶の集会を催したり、月雪花に小酒宴を張ったりした。……いねは三年いて暇を取り、下女もなかなか落着いて呉れなかった。金造はよく勤めたが、足に痛風が出たため、五年めに伊助という男を代りに入れて去った。それから二年ばかりのうちに、菊江が亡くなったのを始め、よく客に来た人たちの中から、江戸へ転勤になったり、病死したりして、幾人かの知人が欠け、彼女自身も三月ばかり病んで寐た。