Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lisez 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 300 caractères · 202 écrans

Aozora Bunko

――ただ時をきっていろいろな幻想があたまのなかを去来する、幼いころに浅草寺の虫干しで見た地獄絵のような、赤い怖ろしい火焔がめらめらと舌を吐くさま、ふりみだした髪の毛から青い火をはなちながら、その火焔の中へとびこんでゆく女の姿、渦を巻いておそいかかる咽を灼くような熱い烈風、嘘のように平安なお祖父さんの寝顔、そしてごうごうと咆え狂う焔の音のなかから、哀訴しむせび泣くようなあの声が聞える。

――おせんちゃん、おらあ苦しかったぜ、本当におらあ辛かったぜ、おせんちゃん。おせんは濁った力のない眼をみはり、唇をだらんとあけて宙を見上げる、なんの感動もあらわれない白痴そのままの表情だ。それから急に眉をしかめ、眼をつむって頭を振る、そういう幻視や幻聴を払いのけたいとでもいうように、――赤児はぐずぐずと泣きだし、小さな唇でなにかを舐めるような音をさせた。おせんは機械的に頬ずりをし、その唇へそっと自分の舌をさしいれた。赤児はとびつくように口をすり寄せ、びっくりするほどのちからでおせんの舌を吸う、ひじょうな力でちゅうちゅうと音を立てて吸うが、やがて口を放すとひき裂けるような声で泣きだすのであった。