Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans

Aozora Bunko

「美しいかねえ」

「人間には、生きようという意志と一緒に、滅亡に赴こうという意志があるような気がするんですよ。どうもそんな気がする。此のような熾んな自然の中で、人間が蛾のようにもろく亡んで行く。奇体に美しいですね」

あとの方は独り言のようになった。

「此の間、妙なものを見ましたよ」

「何だね」

男は持っていた双眼鏡を私に渡し、横合いの谷間を指さした。

「あそこに家が、百姓家が見えるでしょう。もう少し右。ええ、そこです。双眼鏡で見てごらんなさい。母家の横に、小さな納屋が見えるでしょう。そこの、軒下に何か下っているでしょう。見えますか」

傾いた納屋の入口の梁に、何か長い、紐のようなものが、風のためふらふら揺れているのが、双眼鏡にうつって来た。子供が一人、納屋の前の地面にしゃがんで、あそんでいた。それは何だか判らなかった。どういう意味があるのか、私には判らなかった。双眼鏡を返しながら、私は男の顔を見た。

「で?」

「あの家はね、百姓なんです。どこか、遠い所に、田か畠を持っているらしくて、毎日、そこの夫婦は鍬など持って出かけて行くようです。お爺さんがいましてねえ、長いこと病気をして、母家の奥の部屋に寝ているらしいのです。