Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しいのき
椎の木
豊島 与志雄
Lisez 椎の木 (しいのき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 870 caractères · 52 écrans
然し、この五千円だけはどうもまじめらしかった。金のことなんか今迄に一度も口にしたことのない人だけに、よほど困った事情があるのかも知れなかった。
良一は心当りを物色してみた。話してみるようなところは一人きりなかった。それは彼の伯父で、川村さんとも知合いだった。然しそんな話は、伯母さんや家族の人たちの前ではしにくいので、会社の方に行くことにした。他に用もあったので、なか一日おいて、電話できき合せると、四時頃来てくれとのことだった。
丸の内のオフィス街は、冬の四時頃にはもう日の光がなく、退出の会社員等が散乱して、慌しい気分にぬられていた。良一は他国にでも来たような気持で、伯父の会社にはいっていったが、その応接室で、三十分ばかり待たされた。それから伯父の室に案内された。
古ぼけた羅紗で蔽われた大きな卓子の前に、革の椅子にぎごちなく腰掛けた時、良一は用件をきりだすのに困った。伯父は何かの印刷物をもてあそびながら、鼇甲ぶちの大きな眼鏡ごしに、じろじろ良一の方を眺めた。めったに顔をみせたことのない良一が、しかも会社の方で逢いたいというので、好奇心を起したのであろう。