Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しいのき

椎の木

豊島 与志雄

Lisez 椎の木 (しいのき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 870 caractères · 52 écrans

Aozora Bunko

それでもやさしい調子で、いろいろなことを話してくれた。そして遂に向うから、何の用事かと尋ねた。

「少しお願いがあって参ったのですが……。」

「だから、その用向は……。」

「伯父さんは、あの、川村さんをよく御存じですね。」

「川村好太郎さんか、知っている。」

その時伯父は、探るようにじっと良一の方を眺めた。良一はその視線に堪えられなくて、用件を簡単に述べた。――川村さんがひどく困った事情になってるので、五千円かして頂きたい……。

かなり長い間、伯父は黙っていた。良一は不安になった。

「どういう事情で五千円の金がいるか、君は知っているのか。」

良一は返事が出来なかった。

「どうして困るようなことになったのか、君は知ってるのか。」

それも、良一には返事が出来なかった。

暫く沈黙が続いた。

「何にも事情の説明も出来ないで、ただ五千円かしてくれとは、君にもあきれたものだ。それはまあいいとして、君は川村さんのことをいったいどう思っているかね。」

「…………」

「あの人は、気狂いだよ。」

良一は眼を丸くした。一昨日逢ったばかりなのだ。感冒でねていたのだった。

「尤も、どこがどうと目立つところはないから、ちょっと分らないが、あんなのが、実は一番始末に悪い。