Classiques japonais avec furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 181 caractères · 219 écrans
そしてこの時ほど私はスパセニアが帰って来なければいいと、思ったことはありません。
からだ中が燃えるようにかっかとして、顔が火照って頭が茫っとして、こうしていても躍り出したくなる無性に楽しいような気がしてきますけれど、それでいて彼女と膝が触れ合っていることが、また堪えられなく全身をムズ痒くさせてくるような……この時ほどスパセニアが帰って来てくれなければいいと、肚の中で思っていたことはないのです。
「お差し支えなかったら……もっと、遊んでらっしゃいません? こんな山の中ですから、面白いことなんぞ何にもありませんけれど……」
艶やかな眸が、にっこりとのぞきこんできます。
「スパセニアも、とても喜んでますし……パパも喜んでますのよ。ね、およろしいでしょう? もっと遊んでいって下さいません?」
「僕は……僕は……かまいませんけれど……でも……そんなに遊んでて、お宅に御迷惑じゃないでしょうか……?」喉が掠れて、他人が喋っているような気がしました。
「迷惑どころじゃありませんわ……もう、わたくしたちみんな、楽しくて……このままお別れ、できないような気持ですわ。……初めていらした時から……初めていらした時から……わたし……いい方がいらして下さったと……」