Classiques japonais avec furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 181 caractères · 219 écrans
私はまったくもう、あの二人に捉われ切っていました。
ともかく夏休みになったら、夏休みになったらと、半月後に来る夏休暇を、どのくらい待ち焦がれたか知れませんでしたが、困ったことに休暇に入る四、五日前から、身体の具合が思わしくなくて、到頭寝込んでしまいました。
以前に患った肋膜の再発だと、医者はいうのですが、ただ再発だけなら、親もそれほどは驚かなかったかも知れません。が、左肺がかなり進行しているから、絶対安静にしろ! といわれて、レントゲンだ、ほら血沈だと、母なぞは今にも死ぬような心配をしているのです。
暑い間は、伊東の別荘で寝て暮すことにして、行くのにも自動車を徐行させて、牛の這うようにノロノロと……車中で寝ていられるように、扇風機を取り付けたり、氷柱を入れさせたり、引っ繰り返るような騒ぎを演じているのです。その親心を、有難いと思わぬではありませんが、こんな病気くらい、一思いに九州へ飛んでいって、ジーナやスパセニアと馬の二、三回も走らせれば、スグ癒ってしまうのに! と、その時も儘ならぬひとり息子の身の上を、どんなに小五月蠅く感じたか知れませんでした。