Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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たなださいばんちょうのかいし

橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇

橘 外男

Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 181 caractères · 219 écrans

Aozora Bunko

とすれば、左前頭部に一弾を受けて、ジーナが血煙立てて倒れたのも、またこの辺であろう。万籟闃として声を呑む、無人の地帯にただ一人、姉の死体を湖の中へ引き摺り込むスパセニアの姿こそ、思うだに凄愴極まりない。その辺になお血痕斑々として、滴り落ちているかと疑われんばかり、肌に粟の生ずるのを覚ゆる。

このあとがきをつけるのは、正確な記録を申上げるためなのだから、まず山の名から詳細に書いてゆこう。今登ってる山を唐倉山という。この山腹を伝い登ること約三十町、志方野を越えて、さらに次の山路に入る。この山を朝倉山という。スグ続いて赤名山の山腹に入る。

この三分の一行程ぐらいのところで、いよいよ問題の細道……と栃の大木の繁り合った、草むらへ出るのであるが、これらの山道は、いずれもさほど急峻なものではない。が、頭上に山の頂や隣の峰々が高く聳え立ち、全山ことごとく樹木鬱蒼として昼なお暗く、夏でも鳥肌立って、寒けを感ずるであろうと思われる。

「ほら! あすこでごぜえます……あすこであの旦那様は、休んでいらっしゃったでごぜえます」

不気味そうに藤どんなる藤五郎氏の指さすところに、なるほど一際こんもりとした、老樹が二本縺れ合っている。