Classiques japonais avec furigana
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
Lisez 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 107 572 caractères · 209 écrans
「まあ、ほんとうに止めて下さいますの?」
「止める、止める。その代り己はよいことを考えたぞ」
又しても何を云い出すことかと、一同が不安に襲われていると、
「はッ、はッ、は」
と、河内介は一層朗らかに笑い出した。
「いや、みんな心配しないがよい。切ると云ったのは冗談なんだよ。此奴があんまり上手に真似をしているんで、おどかしてやったんだよ」
そう云って、今度は、
「こら坊主」
と、道阿弥の方を振り返った。
「貴様は全く感心な奴だぞ。よく云い付けを守っている。貴様の心がけにめでゝ、切ることは許して遣わすが、その代り此の鼻を紅で真っ赤に塗りつぶしてやる。はッ、はッ、はッ、は、………どうだ、坊主、有難いと思うか? 思うなら返辞をしろ」
首はそれでも寂然として石の如く黙っていたが、
「こら! 返辞をしろ! 今だけ口を利くことを許す!」
そう云われると、
「へい」
と始めて声を出した。しかしやっぱり死の表情を保ったまゝ、何処か、首でない所から声が出たように云うのであった。
「どうだ、坊主、苦しいか?」
「へい」
「苦しくっても、切られるよりは優しであろうな?」
「へい」
「あッ、はッ、はッ、は、いや、なか/\面白い奴だ」