Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぶしゅうこうひわ

武州公秘話

谷崎 潤一郎

Lisez 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 107 572 caractères · 209 écrans

Aozora Bunko

勝ち誇った薬師寺の兵が、もはや城の陥落も一と息と見て、石垣を乗り越え、木戸を打ち破り、とき/″\本丸の中へ真っ黒な塊になって雪崩れ込むのを、味方は必死に喰い止めて、どっと二の丸の方へ押し返し、突き崩し、虐殺と、怒号と、砲声と、叫喚と、物のメリメリ破壊され、蹈みにじられる音と、人間の集団の彼方へ動き此方へ動く地響きとが、一日じゅう大雷雨のようにがーんと耳の端で鳴っていた。実際、さしも堅固を以て聞えた牡鹿城も、もう此れ以上持ちこたえることが覚束ない形勢であった。青木主膳は鑓で突かれた股に繃帯をしていたが、二度目に腕へ負傷してからも痛手に屈せず働いていた。そして極くたまに法師丸の顔を見ることがあると、

「ようございますか、若様。いよ/\と云う時は、つね/″\申し上げておりますことをお忘れになりませぬように」

と、悲壮な面色でそう云い捨てゝは、すぐ又何処かへ飛んで行った。それはいつでも潔い最期を遂げるように、切腹の覚悟をしていろと云う意味らしかった。女たちももう一人として落ち着いている者はなかった。あの老女までが手負いの介抱や死人の運搬に忙しいらしく、夜も姿を見せないことがあった。