Classiques japonais avec furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lisez 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) de 黒島 伝治 (くろしまでんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 115 959 caractères · 234 écrans
猫をつまむように、軍衣袴と、襦袢袴下をつまんでいた。
「何中隊のやつだッ!」扉の中から、きれるような声がひびいた。「人の迷惑も考えないのか! 今ごろから、早や、人の家に厄介をかける奴があるかッ!」
語尾が、カンカンあがった。
「どうしたんでえ?」
連隊中の顔を知らない者はない高取は、のんきげに、素裸体の一等卒にきいた。
「旅団副官だ。」
「副官が、どうしたちゅうんでえ?」
十四人は、扉の前で立止った。何だろう?
扉は、内から、ぐいと押しあけられた。
副官章を肩からはすかいにかけた、目立って鼻すじの通った貴族的な、中尉の顔が、兵士達の前に立ちはだかった。
副官は、剣吊りボタンをはずして、ぞろぞろ押しよせた十四人を、いぶかし気に睨みまわした――何ごとだ。何でこんな厚かましい奴らが大勢やってきたんだろう!
「閣下がおいでになるんだ! 帰れ! 帰れ!」
彼はきれるような声を出した。
「不埒な奴め! 帰れ! 帰れッ!」
十四人は冴えた音声に斬りつけられた。
「チェッ!」
高取はあっけにとられた。渡し場で舟に乗ることを拒まれた旅人のように、眼のさきの風呂場を、残念げに眺めた。